DAOとは?仕組みや特徴と今後の課題を解説
2024年02月05日
Web3.0
DAOはNFTと並んでよく話題になる分散型の技術です。暗号資産の認知が広まるにつれてDAOについて耳にする機会が多くなりました。
DAOとはどのような技術なのかが気になっている人もいるでしょう。この記事ではDAOの仕組みと特徴をわかりやすく解説します。
DAOはまだ課題を抱えている技術なので、どのような点を克服する必要があるのかも押さえておきましょう。
DAOとは?
DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、ブロックチェーン技術を利用して支配者や独裁者を置かずに分権的な運営をする組織です。
DAOは日本語では「分散型自立組織」と呼びます。
中央集権型組織との違い
DAOと対比的に用いられるのが中央集権型組織です。
中央集権型組織として最もわかりやすい例として、企業をイメージしてもらえばいいでしょう。
企業では社長やCEOが組織のトップに立って組織全体を管理しています。基本的な意思決定権はトップにいる社長やCEOがおこないます。
しかし、DAOにはトップに立って意思決定をする中央管理者はいません。組織として意思決定をするときには、組織のメンバーによる投票や多数決をします。
DAOはサービス提供組織としても用いられることがありますが、サービスの中央管理者がいないことは共通しています。
DAOの例
DAOはブロックチェーン技術の向上によって次々に生まれてきました。有名な例として以下のような組織があります。
- ・The DAO
- ・MakerDAO
- ・BitDAO
- ・CityDAO
- ・Compound Finance
たとえば、The DAOは参加者の投票によって資金投資先を決定するシステムのサービスです。
利益が生じれば配当が分配され、損失が出た場合は参加者がその負担を担います。これは投資信託に似たシステムですが、証券会社などの中央集権的な関与がなく、The DAOの参加者の投票による意思決定で投資先が決定されています。
DAOの特徴
DAOは、ブロックチェーン技術の登場以前には存在しなかった独特の特徴を持つ組織形態です。
ここでは、DAOに関わる技術や仕組みを含めた、その特徴的なポイントについて見ていきましょう。
自由参加型の民主的組織
DAOの主な特徴の一つは、ブロックチェーンを利用した分散型の構造で、中央管理者が存在しないことです。
組織に参加している全員が意思決定に関与できます。年齢、性別、人種などによる区別なく、誰でも自由に参加可能です。
また、DAOに参加したあとには脱退も自由にできます。
スマートコントラクトでの自動処理
DAOはスマートコントラクトを使用して自律的に運営されるシステムです。
従来の中央集権型組織の「中央」に相当する部分が、組織のルールとしてプログラム化されており、スマートコントラクトによって自動的に処理されます。
ルールの変更も、参加者の投票による意思決定によっておこなわれます。決定方法を一方的に変更することはできない、平等なシステムです。
ガバナンストークンによるインセンティブ
DAOの特徴として、ガバナンストークンによる制御がおこなわれています。
これはトークンエコノミーの一部であり、参加者はトークンによって投票権を行使することができます。
組織への貢献によってトークンが付与され、その条件も組織のルールによって定められ、スマートコントラクトによって処理されます。
組織内での影響力を高めたい人にとって、ガバナンストークンは重要なインセンティブとなります。
DAOの抱えている課題
DAOは民主的で合理的な組織形態とされていますが、現状では多くの課題に直面しており、広く普及しているとは言えません。
以下では、DAOが抱える主な課題について探ります。
法整備の問題
DAOにおける最大の課題は法整備の問題です。多くの国でDAOに関する法律がまだ整っていない状況があります。
法整備の遅れによって許認可の申請方法や、税務上の扱いなどさまざまな問題が不透明な状況にあります。
今後、DAOは各国の法整備に適応していく必要があるでしょう。
セキュリティリスクの存在
DAOはブロックチェーン技術やスマートコントラクトを用いていますが、セキュリティ面で完全ではありません。
例えば、2016年にスマートコントラクトの脆弱性を狙ったThe DAO事件が起こっています。
このときには1億3900万ドル相当のイーサリアムが不正流出し大きな問題となりました。
将来的にも脆弱性を狙ったハッキングのリスクは存在します。DAOの参加者はセキュリティ対策を常に意識し、強化する必要があります。
意思決定の効率化
DAOは中央集権型組織に比べて意思決定に時間がかかる傾向があります。
効率的な投票進行と、必要な投票数を確保する仕組みの構築が求められています。
現状では、迅速かつ柔軟な対応が難しいことが、DAOの大きな課題となっています。
まとめ
DAOは従来の中央集権型組織とは異なり、ブロックチェーンによって分散型で民主的な組織です。
中央管理者が存在せず、参加者の持つトークンによる投票で意思決定がおこなわれる仕組みになっています。
現状では法制が整っていないという点には留意が必要ですが、将来の組織運営の在り方に、大きな影響を与える可能性が高いと考えられています。