仮想空間(メタバース)のリスクとは? 施すべきサイバーセキュリティ対策を紹介
2023年04月14日
仮想現実
仮想空間(メタバース)は、近年急速に発展し、ビジネスでの活用に注目を集めています。
さまざまな分野で利用が期待され参入し始める企業も増えているものの、仮想空間にはセキュリティリスクがあることに注意が必要です。
この記事では、仮想空間におけるリスクと対策法について解説します。
仮想空間(メタバース)とは
メタバースは、「meta(超越)」「universe(宇宙)」を掛け合わせてできた言葉で、CGで表現した仮想空間のことです。仮想空間において、ユーザーは自分のアバター(分身として表示するキャラクター)を作成し、他のユーザーとの交流やビジネスなどの活動が行えます。
インターネット上の仮想空間であるメタバースは、 近年急速に発展し世界中で注目を集めるようになりました。この背景には、2021年にFacebook社が「Meta」と社名を変更し、ビジネス向けのバーチャル会議システムを提供したことや、新型コロナウイルスの流行でオンライン上のコミュニケーションが日常化したことなどがあります。
新規事業やマーケティング分野などでメタバースに参入する企業も増えており、今後も世界的に市場規模が拡大していくと予想されています。
メタバースで想定されるリスク
多様な分野で活用が期待されているメタバースですが、利用においては次のようなリスクが懸念されています。
アカウントの乗っとり
メタバースのID・パスワードの窃盗に遭い、アバターを乗っ取られてしまうリスクがあります。アバターのアカウントが乗っ取られると、第三者が自身になりすまして商品を購入するなどの不正被害につながる恐れがあります。
なりすまし
メタバースは、アバターのプロフィールや画像を自由に設定でき、現実世界とは異なる人格で活動できます。そのため、たとえアカウントを乗っ取られなくても、アバターを模倣されることにより詐欺などに悪用される恐れがあります。
情報漏洩・流出
アカウントの乗っ取りやなりすましにより、個人情報や企業の機密情報が流出、漏えいする恐れがあります。すると、個人情報の悪用や企業の機密情報流出、さらには企業の信用低下など、大きな損害につながる恐れがあります。
仮想空間(メタバース)で求められるサイバーセキュリティ対策
メタバース活用のリスクを回避するためには、次のようなセキュリティ対策をとるのが有効です。
事業者向けの対策
サービスを提供する事業者は、アカウント情報の窃盗やハッキングによるリスクを防止するために、次のようなセキュリティ対策を行う必要があります。
- ・多要素認証の導入
- ・eKYCサービス(オンライン上で本人確認を完結できる仕組み)を導入
- ・IPアドレスによるアクセス制限
- ・不正アクセス検知システムの導入
不正アクセス検知システム(IDS・IPS)とは、不正アクセスを検知・遮断・通知する機能があり、ネットワークセキュリティの防御や強化に有効です。
上記の対策をとることで、サービスの安全性を高めユーザーが安心して利用できる環境構築を図れるでしょう。
個人(利用者)向けの対策
アカウント情報の窃盗や乗っ取り、なりすましを防止するために、ユーザーはアカウント管理を厳重に行う必要があります。
たとえば、アカウント設定時には、次の点に注意しましょう。
- ・同じID・パスワードを使い回さない
- ・複雑な文字列、かつ12文字以上の強固なパスワードを設定する
- ・二段階認証をオンにする
解読されやすい単純なパスワードは避けること、他のサービスと同じIDやパスワードを使い回さないようにするといった簡単なことで、安全性を高めることが必要です。
まとめ
メタバースは、近年急速に発展しておりビジネスに参入する企業も増えています。ただし、利用にはセキュリティリスクがあり、被害に遭うと大きな損害につながる恐れがあります。
サービスを提供する事業者、ユーザーともに、セキュリティ対策は必須となります。とくに、事業者側はユーザーが安全にサービスを利用できるよう、ネットワークセキュリティの導入を含めて検討が必要です。