ネットワークセキュリティとUTMの関係性とは?その機能と効果を解説
2023年04月14日
セキュリティ
サイバー攻撃の多様化によりセキュリティ管理の複雑さが増しているなか、UTMは、ネットワークセキュリティ対策を効率的に強化できる手段として注目を集めています。
本記事では、ネットワークセキュリティにおけるUTMの効果や機能について解説します。
UTMとは
「UTM(Unified Threat Management)」とは、複数のセキュリティ機能を統一元化し、統合的に脅威の管理を行える手法です。日本語では、「統合脅威管理」と呼ばれています。
企業のネットワークは、不正アクセスやウイルスなどさまざまな脅威にさらされています。しかし、脅威に対し複数のソフトを個別に導入して対策を図ることは、コストや管理者の負担が大きく、管理や運用が難しい場合もあるでしょう。そこで、一括でセキュリティ管理を行うために登場したツールがUTMです。
UTMとネットワークセキュリティ
サイバー攻撃の手法は年々進化しており、多様化・複雑化してきています。被害を受ける範囲も拡大しており、公的機関や大企業に限らず、中小企業にも広まっています。不正アクセスによる情報漏えいは、企業の信用低下や取引停止などの大きな損害につながる恐れもあり、どの企業でも対策が必須です。
そこで、近年では、ファイアーウォールやアンチウイルス、IDSやIPS(不正検知システム)といったさまざまなネットワークセキュリティ製品が開発されています。しかし、脅威から自社を守るためには、いずれか単体で対策を施すのではなく、包括的なセキュリティ対策が必要です。UTMは、そのためのセキュリティ対策を効率的に行えることから注目を集めています。
UTMを構成する機能
UTMを構成する機能には、次のものがあります。
- ・ファイアウォール:情報を監視し不正アクセスを防止する機能
- ・アンチスパム:スパムメールを隔離する機能
- ・アンチウイルス:ウイルスの侵入や感染を防ぐ機能
- ・IDS /IPS:不正アクセスを検知・通知・遮断する機能
- ・Web(URL)フィルタリング:不適切なサイトの閲覧や有害サイトへの情報流出を防止する機能
- ・アプリケーション制御機能:不適切なアプリケーションの使用を禁止する機能
UTMでは、上記6つの機能による包括的なセキュリティ対策が可能です。
UTM導入の効果とメリット
UTMを導入する効果やメリットは、主に次の3つです。
- ・コストの削減
- ・導入や運用がしやすい
- ・内部から外部、外部から内部の脅威を防止できる
UTMは、複数のシステムを個別に導入するよりも低コストで運用が可能なほか、短時間で導入できることがメリットの1つです。また、セキュリティ対策の一元化が可能になるため、運用を効率化できます。
内部から外部・外部から内部と両方の脅威を防止できるため、機密情報の流出防止が可能な点もメリットとして挙げられます。
UTM導入が必要な企業
UTMは、中小企業や個人情報を多く扱う企業の導入に有効です。
中小企業には「専任のセキュリティ担当者がいない」「専門知識のある人材がいない」など、専門の担当者を確保してセキュリティ管理を行うのが困難な場合もあるでしょう。UTMなら複数の機能を一元化できるため、人的リソースの少ない企業でも運用しやく、規模の小さな企業の導入に向いています。
また、近年、個人情報保護の意識が高まっていることから、強固なセキュリティ環境を構築する必要がある顧客情報を多く扱う企業も、包括的なセキュリティ対策が可能なUTMの導入が有効です。
まとめ
UTMは、複数のセキュリティ機能を一つに統合し一元化したツールです。複数の製品を個別に導入することなく、さまざまな脅威に対して強固なセキュリティ対策を行えます。
複数の製品を導入するよりも低コストで導入でき、運用もしやすいため、コストや人的リソースのない中小企業などの導入に適しています。専任のセキュリティ担当者がいない中小企業は、自社のネットワークセキュリティ強化にUTM導入を検討するとよいでしょう。