クラウドコンピューティング利用に知っておきたいリスク管理とは
2023年05月08日
セキュリティ
クラウドコンピューティングは、近年急速に市場が拡大し、導入する企業は増加しています。
本記事では、クラウドコンピューティング利用において知っておきたいリスクと対策方法について解説します。
クラウドコンピューティングとは
クラウドコンピューティングとは、ベンダー(サービスを提供する事業者)の運用するコンピューターをインターネット経由で利用することです。
SaaS・PaaS・IaaSといった種類があり、サービスの例としては「Microsoft Azure」や「Dropbox」「Gmail」などが挙げられます。
従来、企業が業務で使用するソフトウェアやアプリには、自社サーバーにシステムを導入する「オンプレミス型」が中心でした。ただし、オンプレミス型は自社でハードウェアの調達から保守管理まですべてを行う必要があり、高額な初期費用や運用コストかかります。
一方でクラウドコンピューティングは、ベンダーが設備を用意し運用・保守管理まですべて行うため、自社でハードウェアの購入や運用・保守管理を行う必要がありません。利用にかかるコストを抑えられ、短期間で導入が可能な点が特徴です。
クラウドコンピューティングにおけるリスク
クラウドコンピューティングには低コスト・利便性が高いといったメリットがありますが、利用にはリスクも存在します。
クラウドサービスの障害
ベンダーのサーバーダウンや障害が発生した際に、必要なデータへアクセスできなくなる恐れがあります。また復旧対応はベンダーに委ねられるため、自社ではコントロールできません。
クラウドロックインの発生
特定のベンダーに依存すると、利用条件が変更になった場合でも他のベンダーへ変更したり自社システムへ戻したりすることが困難になる恐れがあります。
とくに、クラウドサービスに膨大なデータを保管していると移行が難しくなり、変更したくても元のべンダーを使い続けるしかないという状況になってしまいます。
情報漏えい
クラウドサービスではデータがすべてネットワーク上に保存されており、アカウント情報さえあれば、誰でもアクセスができてしまいます。
そのため、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏えいや改ざん、窃盗に遭うリスクがあります。
アカウントの悪用
ユーザーが適切にアカウント情報を管理しなければ、情報漏えいによる不正ログインで、個人情報を悪用される可能性があります。
クラウドサービスにおけるリスク管理
クラウドサービスを利用する際には、セキュリティ対策をベンダー任せにするのではなく、ユーザーのリスク管理も重要です。
具体的な対策方法としては、次の3つがあります。
適切なセキュリティ対策を行っているサービスを選ぶ
多要素認証・アクセス制限や、通信・データの暗号化、ログの監視など、適切なセキュリティ対策を行っているサービスを選ぶことが重要です。
また、ISO 27001やISO27017といった情報セキュリティやクラウドセキュリティに関する認証を取得している企業やサービスを選ぶこともポイントです。
安定性の高いサービスを使用する
クラウドサービスの利用には、ベンダーがサービスを終了するリスクが伴います。
サービスが終了すると、ユーザーは移行先を探さなければいけません。しかし、移行先を見つけ、データの作業を行うには手間や時間がかかるため、あらかじめ継続してサービスを提供できる、安定性・信頼性の高いサービスを選定する必要があります。
クラウドセキュリティツールの導入
CASB(Cloud Access Security Broker /キャスビー)のようなクラウドセキュリティツールを導入するのも有効です。
CASBは、ユーザーとクラウドサービスの間に設置することで、利用状況の可視化やアクセス制御などが可能になる仕組みのことです。導入により、リアルタイムで監視や不正検知が可能になり、不正行為を発見しやすくなります。
まとめ
クラウドコンピューティングは、低コスト・短期間で導入できることから、近年市場は急速に拡大しています。
しかし、便利な反面、利用には情報漏えいやデータの移行が困難になるといったリスクもあります。
そのため、セキュリティ対策が十分に行われている継続性の高いサービスを選ぶこと、ユーザー側でもクラウドセキュリティツールを導入するなどして、セキュリティ対策を行うことが必要です。